北極圏への入口は一つではありません。地域ごとに南側の拠点都市があります。ノルウェー北極圏とスヴァールバルはオスロ、北アイスランドと東グリーンランドはレイキャヴィーク、西グリーンランドはコペンハーゲンとレイキャヴィーク、カナダ北極圏はオタワ、イエローナイフ、ウィニペグ、アラスカはアンカレジとフェアバンクスです。そして、地域どうしを結ぶ航空便はほとんどありません。たとえばスヴァールバルからグリーンランドへ行くには、いったん南の首都まで飛び、そこからまた北へ向かうことになります。
各地域のなかでは、小型機、沿岸航路の船、探検船、そしてごく一部の場所では道路を使って移動します。どれも普段慣れているものより遅く、確実さに欠けます。霧、風、氷による欠航や運休は、一年を通じて毎週のように起こります。最初からそれを計画に織り込んでおきましょう。
玄関口となる空港
| 空港 | 行き先 | 主な接続 | 知っておきたいこと |
|---|---|---|---|
| オスロ(OSL) | トロムソ、アルタ、キルケネス、スヴァールバル | 4か所すべてに直行便。トロムソへは1日数便 | ノルウェー北極圏の主要拠点 |
| トロムソ(TOS) | トロムソ、スヴァールバル、フィンマルク | ロングイェールビーンまで1時間40分。アルタ、ハンメルフェスト、ホニングスヴォーグ、キルケネスへは短距離便 | ヨーロッパの数都市から季節運航の直行便あり |
| ロングイェールビーン(LYR) | スヴァールバル、北極点クルーズ | オスロまで約3時間、トロムソまで1時間40分 | シェンゲン圏外。パスポートを携行 |
| ケプラヴィーク(KEF)とレイキャヴィーク市内空港(RKV) | 北アイスランド、グリーンランド | RKVからアークレイリまで45分。アイスランドからヌーク、イルリサット、クルスクへ | 国際線と国内線で空港が異なる |
| コペンハーゲン(CPH) | 西グリーンランド | ヌークまで約4.5~5時間 | グリーンランドへの通年運航の幹線 |
| ヌーク(GOH) | 西グリーンランド | イルリサットまで約1時間20分 | 国際線用の滑走路が2024年11月に開業 |
| オタワ(YOW) | ヌナブト準州 | イカルイトまで約3時間 | その先はターボプロップ機でバフィン島の集落へ |
| イエローナイフ(YZF)とホワイトホース(YXY) | カナダ北極圏西部 | イヌヴィクまで経由便で2~3時間 | ホワイトホースは北へ向かうドライブの起点 |
| ウィニペグ(YWG) | チャーチル、ハドソン湾 | チャーチルまで飛行機で約2.5時間、列車で2日 | チャーチルへ通じる道路はない |
| アンカレジ(ANC)とフェアバンクス(FAI) | アラスカ北極圏 | ウトキアグヴィクとデッドホースまで1.5~2時間 | フェアバンクスはダルトン・ハイウェイのツアーの拠点 |
路線と便数はシーズンごとに変わり、グリーンランド行きは特に変動します。この表はあくまで目安とし、予約を確定する前に航空会社の時刻表を確認してください。
入国規則の概要
ノルウェーとアイスランドはシェンゲン圏に属しています。多くの国籍の人は、180日の期間内で最長90日までビザなしで滞在でき、ビザ免除の旅行者を対象とする欧州連合の新しい入域管理システムが段階的に導入されています。ご自身の渡航日に何が適用されるかを確認してください。スヴァールバルには独自のビザは必要ありませんが、シェンゲン圏の外にあるため、パスポート審査を受けることになり、そのあとノルウェーに再入国できる資格も必要です。グリーンランドはシェンゲン圏にも欧州連合にも属していません。デンマークのビザが必要な人は、グリーンランドでも有効と明記されたビザが必要です。
カナダは、ビザ免除で空路入国する旅行者のほとんどに電子渡航認証を求めており、アメリカ合衆国は承認済みのESTAまたはビザを求めています。ロシアについては、ロシア北極圏のページをご覧ください。現在、西側諸国の政府のほとんどが渡航を控えるよう勧告しています。規則は変わります。公式の情報源で確認してください。また、探検クルーズはある国で始まり、別の国で終わることが多い点にも注意が必要です。
北極圏内の空の移動
ノルウェー北部には小さな空港が密に配置され、プロペラ機が町から町へと飛び継いでいます。早めに予約すれば運賃は手頃です。グリーンランドの国内線とヘリコプターは、週1便のフェリーに代わる唯一の手段で、料金は高額です。カナダ北部とアラスカでは、地域航空会社が拠点となる集落までジェット機を、その先へは小型機を飛ばしており、運賃は高く、手荷物の制限も厳格です。
どこにいても、最も欠航しやすいのはその日の最終便です。欠航すれば、空席が出るまで1日かそれ以上待つことにもなりかねません。午前の便を選び、帰路には拠点都市で予備の1泊をとっておくことが、安上がりな保険になります。
沿岸航路の船とフェリー
ノルウェー沿岸航路はベルゲンとキルケネスのあいだを毎日運航し、トロムソ、ハンメルフェスト、ホニングスヴォーグ(Honningsvåg)、ヴァードー(Vardø)、キルケネスに寄港します。どの区間でも乗船できます。グリーンランドでは、フェリーのSarfaq Ittukが西海岸の町を週に1回、北はイルリサットまで結んでいます。アイスランドで唯一の北極圏のフェリーは、ダルヴィーク(Dalvík)からグリームスエイ島(Grímsey)へ運航しています。スヴァールバルへ渡る旅客フェリー、北極海を横断する旅客フェリー、カナダとアラスカの沿岸を走る旅客フェリーはありません。
探検クルーズの発着港
北極圏の探検クルーズのほとんどは、ごく限られた港のいずれかで始まるか終わります。スヴァールバルと北極点へはロングイェールビーン(Longyearbyen)。スヴァールバル行きの一部はトロムソ。東グリーンランドへはレイキャヴィーク、アークレイリ、イーサフィヨルズル(Ísafjörður)。西グリーンランドと北西航路へはカンゲルルススアーク(Kangerlussuaq)とヌーク(Nuuk)。そして北西航路の西端ではノーム(Nome)またはケンブリッジ・ベイ(Cambridge Bay)です。行きにくい港については、運航会社がたいていチャーター便をパッケージの一部として販売しています。少なくとも1日前には到着しておきましょう。船は待ってくれません。
海へ通じる道路
ヨーロッパでは、舗装道路だけでノールカップまで、またグレンセ・ヤコブセルヴ(Grense Jakobselv)やヴァードーのバレンツ海岸まで車で行けます。北米では、未舗装のハイウェイ2本が北極海の沿岸に達しています。一つはデンプスター・ハイウェイと、その延長でボーフォート海に面したトゥクトヤクトゥクまで続く道路。もう一つはアラスカのデッドホース(Deadhorse)へ至るダルトン・ハイウェイで、こちらは海岸までの最後の数キロメートルをシャトルでしか進めません。どちらも、適した車両とスペアタイヤ、そしてゆとりのある日程が必要です。アイスランドのリングロードはアークレイリまで舗装されています。
鉄道
鉄道は、ほぼどこでも海のはるか手前で終わっています。ノルウェーでは路線はボードー(Bodø)が終点で、ほかにスウェーデンからナルヴィク(Narvik)へ入る支線があります。ナルヴィクからトロムソまではバスで4時間です。カナダでは、ウィニペグからハドソン湾岸のチャーチルまで、週2便のゆっくりした列車が走っています。アラスカ鉄道はフェアバンクスまで達しています。どれも速くはありませんが、それぞれが旅そのものとして素晴らしい路線です。
天候、遅延、予備日
北部の長い移動区間ごとに予備日を1日、グリーンランドやカナダ北部から大陸間路線で帰国する前には2日を見込んでください。差額が小さければ変更可能または払い戻し可能な運賃を選び、ホテルの予約はキャンセルできる状態にしておきましょう。荷物の到着が遅れた場合に備えて、薬、防寒着1枚、充電器などの必需品は機内持ち込み手荷物に入れてください。旅行保険は、遅延、出発便への乗り遅れ、そして遠隔地の場合は緊急医療搬送を補償するものにしましょう。
主な所要時間
通常の条件での時刻表上の所要時間です。旅程に何が収まるかを判断する目安にしてください。
| ルート | 交通手段 | 所要時間 | 知っておきたいこと |
|---|---|---|---|
| オスロ – トロムソ | 飛行機 | 1時間50分 | 毎日多数運航 |
| トロムソ – ロングイェールビーン | 飛行機 | 1時間40分 | パスポート審査あり |
| オスロ – ロングイェールビーン | 飛行機 | 約3時間 | 一部はトロムソ経由 |
| トロムソ – ホニングスヴォーグ | 沿岸急行船/飛行機 | 18時間/1.5時間 | 船はハンメルフェストに寄港 |
| ホニングスヴォーグ – キルケネス | 沿岸急行船 | 約1.5日 | バレンツ海の沿岸を航行 |
| トロムソ – アルタ | 道路 | 約6時間 | 飛行機なら40分 |
| レイキャヴィーク – アークレイリ | 飛行機/道路 | 45分/5時間 | 市内空港から出発 |
| コペンハーゲン – ヌーク | 飛行機 | 4.5~5時間 | 通年運航 |
| ヌーク – イルリサット | 飛行機/フェリー | 1時間20分/約2日 | フェリーは週1便 |
| アイスランド – クルスク | 飛行機 | 約2時間 | 主に夏季 |
| オタワ – イカルイト | 飛行機 | 約3時間 | 毎日運航 |
| ドーソン・シティ – イヌヴィク – トゥクトヤクトゥク | 未舗装道路 | 2~3日 | 全長878km |
| フェアバンクス – デッドホース | 未舗装道路 | 2日 | 約800km |
| アンカレジ – ウトキアグヴィク | 飛行機 | 約2時間 | 道路はない |
| ロングイェールビーン – 北極点 | 砕氷クルーズ船 | 片道約1週間 | 夏季のみ |
交通:よくある質問
南へ戻らずに北極圏の地域から地域へ移動できますか?
ほとんどできません。アイスランドとグリーンランドを結ぶ航空便と、ごく一部の探検クルーズを除けば、各地域はそれぞれの南側の拠点都市としかつながっていません。
車は必要ですか?
トロムソ、ロングイェールビーン、イルリサット、そして飛行機でしか行けない集落では必要ありません。ツアーに送迎が含まれています。車が役に立つのは、北アイスランド、アルタ周辺、ヴァランゲルの海岸、そして言うまでもなくデンプスター・ハイウェイとダルトン・ハイウェイです。
スヴァールバルへのフェリーはありますか?
ありません。ロングイェールビーンへ飛行機で行くか、探検船またはクルーズ船で到着します。
グリーンランドへはどうやって行きますか?
コペンハーゲンまたはアイスランドからヌークへ飛行機で向かいます。シーズン中はアイスランドからイルリサットとクルスクへの直行便もあります。西グリーンランドと東グリーンランドをご覧ください。
天候で航空便が欠航したらどうなりますか?
航空会社が次に空席のある便に振り替えますが、それが1日以上あとになることもあります。宿泊が必ず提供されるとは限りません。予備日と保険が大切なのはこのためです。

